映画「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」について

「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」は、2012年に公開されたイギリスのホラー・スリラー映画です。スーザン・ヒルの小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」を原作とし、ジェームズ・ワトキンスが監督、ジェーン・ゴールドマンが脚本を執筆、製作はハマー・フィルム・プロダクションが行いました。「ハリー・ポッター」シリーズで一躍人気者となったダニエル・ラドクリフが主演し、話題となった作品です。

ストーリー

舞台は19世紀末のイギリス・ロンドン。主人公のアーサーは幼い1人息子を持つ弁護士で、最愛の妻を失ってからというもの仕事に身が入らず、成績も上がらない状態が続いていました。彼の妻は4年前息子を出産する際に亡くなっていて、ただ1人の肉親である息子と2人で暮らしている家も家賃を払えずにいました。そんな時アーサーは事務所の上司に呼び出され、一つの仕事を任されます。それはクライシン・ギフォードという田舎町にある「イールマシュの館」に行き、故アリス・ドラブロウ夫人の遺言書を探せというものでした。そして上司は、この仕事をやり遂げなければアーサーを解雇すると告げます。アーサーは家政婦に息子を預け、週末には仕事が終わるから遊びにおいでと息子に言い残し、クライシン・ギフォードへ旅立ちます。道中、列車の中で、町の住人であるサム・デイリーに出会います。サムはアーサーがイールマシュの館を訪ねることを知り、「イールマシュの館はだれも住んでいないはずだ。売りに出すとしても、地元の人は買わないだろう」と告げます。町に着くとサムは、翌日の夕食にアーサーを招待してくれました。サムと別れたアーサーは、大雨の降る中宿へと向かいます。しかし、宿へ着くと予約したはずなのに満室だといわれ、宿泊を拒否されてしまいます。宿は町に一軒しかなく、アーサーは週末には息子も来るのにと困り果てます。そんな時、経営者の妻が一晩だけなら屋根裏部屋に泊めてあげたら?と彼をなだめ、案内してくれます。翌朝、アーサーは協力を依頼していた地元弁護士を訪ねます。しかし彼は「夫人の書類は私がまとめたもので全部だ。だからこの書類を持って帰れ」とぞんざいな態度でアーサーを追い払います。不審に思ったアーサーは、地元弁護士が用意した馬車の老人を買収し、イールマシュの館へと向かいます。館の周りは沼で囲まれていて、霧深く、不気味な雰囲気が漂っていました。館に着くとアーサーは、老人に夕方に迎えに来てくれと頼み館の捜索に乗り出します。館の中は薄汚れていて、また書類も渡されたもの以外にもたくさん残っていました。アーサーはその中に「ナサニエル」という7歳の少年の死亡証明書を見つけます。少年は館の沼地で溺死しており、死体はまだ見つかっていないとのことでした。その時、ふと窓の外を見ると黒い服を来た女が立っているのが見えました。女はアーサーが一瞬目を離した隙にいなくなっていました。怪しい人物が館をうろついている、と地元警察に伝えに来たアーサー。黒い服を着た女だったことを告げると、警官は驚いて部屋の奥へと逃げていきます。その時そこへ幼い兄弟がやってきます。兄弟はぐったりした妹を抱いていて「妹が洗剤を飲んじゃった。助けて」とアーサーに訴えます。なすすべも無く、少女は吐血しアーサーの腕の中で息を引き取ります。呆然とするアーサーでしたが、サムとの夕食の約束を思い出し、サムの家へ向かいます。サムとサムの妻・エリザベートは快く彼を向かえ入れ、今夜の宿も提供してくれます。しかしエリザベートは一人息子を亡くしたことが原因で心を病んでいるのでした。エリザベートは息子の魂が自分に宿っていると思い込んでいますが、サムは全く信じていない様子でした。翌朝アーサーはサムに館まで車で送ってもらうことに。しかしそんなアーサーたちに向かって住人たちは「お前のせいで少女が死んだ」「もう自分の住んでいる町へ帰れ!」と罵声を浴びせます。住人たちを振り切り館へ到着すると、アーサーは徹夜で作業をすることをサムに伝え、翌朝迎えに来てもらう約束をして書類の整理に取り掛かります。しかし夜になると様々な怪奇現象が起り始めます。視界の端々に黒いものが見え、怪奇音が鳴り響きます。耐えかねたアーサーは館の外に逃げだします。するとそこにはサムが立っていました。いつの間にか朝になっていたのです。サムの車で町へ戻る二人。すると弁護士の家が火事になっていました。弁護士夫妻は「中に娘が・・・!」と半狂乱になって叫びます。燃え盛る炎の中にアーサーは飛び込んでいきます。アーサーは娘を発見しますが、その背後には黒い服の女が。そして娘は自らに火を放ちます。またしても子供を救えなかったと落ち込むアーサーにエリザベートは「自分のせいだと思わないでね」と声をかけます。どういうことかサムに聞くと、「自分は信じていないが・・・」と前置きし、「あの館で黒衣の女をみると町にいる子供が次々に死んでいく」という言い伝えがあること、そして住人たちはみなそれを信じていることを語ります。アーサーはそのことを教えてくれなかったサムに対して激怒しますが、明日には自分の子供がこの町へやってくることを思い出し、戦慄します。アーサーは館にあった書類から、黒衣の女はナサニエルの母ジェネットであること、ジェネットは故アリス・ドラブロウ夫人の妹で、アリスのせいで息子が死んだと思い込み彼女を恨んで館で首吊り自殺をしたことを知ります。そして、ナサニエルの亡骸をジェネットの霊に合わせれば、彼女の怒りを静めることが出来ると確信します。館の沼地に向かうアーサーとサム。沼地に立つ十字架の下に潜るアーサー。そこで沈んだ馬車とナサニエルの亡骸を見つけます。アーサーは子供部屋のベッドにナサニエルを安置します。そこへ黒衣の女が現れ、絶叫して去っていきます。翌朝、ジェネットの墓にナサニエルの遺体を埋葬し、アーサーとサムは息子を迎えに駅へと向かいます。息子と再会を果たしたアーサーは、すぐにロンドンに帰ることに。世話になったお礼をサムに伝え、別れの言葉を交わす二人でしたが、その時アーサーの目に黒衣の女が映ります。慌てて息子を探すアーサー。息子は今まさに列車が通過しようという線路の真ん中に。アーサーは線路に飛び出し、息子を抱きしめますが、列車は無常にも二人に激突し、通過していきます。その時サムは向かいのホームに黒衣の女が立っているのを見るのでした・・・。

キャスト

  • アーサー・キップス・・・ダニエル・ラドクリフ
  • サム・デイリー・・・キーラン・ハインズ
  • エリザベート・デイリー・・・ジャネット・マクティア
  • ミスター・ベントレー・・・ロジャー・アラム
  • ジェローム・・・ティム・マクマラン
  • ジョセフのナニー・・・ジェシカ・レイン
  • ケックウィック・・・ダニエル・セルクェイラ
  • フィッシャー・・・ショーン・ドゥーリー
  • ミセス・フィッシャー・・・メアリー・ストックリー
  • PC・コリンズ・・・デビッド・バーグ
  • ステラ・キップス・・・ソフィー・スタッキー
  • ルーシー・ジェローム・・・ミーシャ・ハンドレイ
  • ジョセフ・キップス・・・イーファ・ドハーティ
  • ジェラルド・ハーディ・・・ヴィクター・マクガイア

スタッフ

  • 監督・・・ジェームズ・ワトキンス
  • 脚本・・・ジェーン・ゴールドマン
  • 原作・・・スーザン・ヒル「黒衣の女 ある亡霊の物語」
  • 製作・・・リチャード・ジャクソン、サイモン・オークス、ブライアン・オリヴァー
  • 製作総指揮・・・ガイ・イースト、ニール・ダン、トビン・アームブライト、ロイ・リー、サヴィエル・マーチャンド、マーク・シッパー、ナイジェル・シンクレア、タイラー・トンプソン
  • 音楽・・・マルコ・ベルトラミ
  • 撮影・・・ティム・モーリス=ジョーンズ
  • 編集・・・ジョン・ハリス
  • 製作会社・・・クロス・クリーク・プロダクションズ、ハマー・フィルム・プロダクション、Alliance Films、UK Film Council、Talisman Productions、Exclusive Media Group、Film i Vast、Filmgate Films

原作者について

原作者のスーザン・ヒルは、イギリスのフィクション及びノンフィクション作家です。ヨークシャー州のスカボローで生まれ、キングス・カレッジ・ロンドン在学中から執筆を開始しました。地方紙の編集の仕事などを経て、1968年から本格的な執筆活動を開始。1975年にシェイクスピア学者の夫と結婚し、ストラトフォード・アポン・エイヴォンに住んでいました。1977年には長女が誕生し、翌年にはオックスフォード近郊の村に移住します。そして、それまでに住んだイギリス各地の様子をオックスフォードのひとつの村に場所を置き換えてエッセイ風に綴った「イングランド田園讃歌」を発表しました。30代後半になって三度の流産を繰り返し、次に生まれた女児も早産で2ヶ月後に死亡しました。1985年に三女を出産し、現在は二児の母でもあります。この間の苦悩や葛藤、そして彼女自身の生い立ちについて書いた「私は産む―愛と喪失の四年間」は、イギリス国内で大きな反響を呼びました。現在はコッツウォルズ在住で、自らの出版社を設立し、年に1作のペースで小説を出版しています。2012年には長年にわたる文学への功績が認められ、大英帝国勲章を受章しました。

邦訳された主な作品

  • 1970年「ぼくはお城の王様だ」
  • 1982年「イングランド田園讃歌」
  • 1983年「黒衣の女 ある亡霊の物語」
  • 1984年「キッチンの窓から」
  • 1986年「庭の小道から」
  • 1999年「私は産む―愛と喪失の四年間」
  • 1999年「スーザンヒル選集1君を守って」
  • 2000年「スーザンヒル選集2その年の春に」

感想

ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフが主演ということと、19世紀末のイギリスを舞台にしたゴシックホラーということで観にいきました。まずダニエル君ですが、子持ちの役にはちょっと若すぎるんじゃないかなーという印象でしたね。子役のころから見ているので、大きくなったなぁと感慨深いものがありました。でも彼自身まだ若いですし、ちょっと今回の役には無理があるなと感じました。「脱ハリー・ポッター」に必死のようですが、そんなに無理しなくても彼の演技力なら自然といい役にありつける気がするのですがね。映画のお話自体は、分かり易い亡霊モノなので、恐怖に集中できますね。私としてはもう少し謎解き要素があったほうが嬉しいですが。亡霊自体の恐怖というよりも、音にビクッとなる驚かし系なので心臓に来ます。映画館で見ると迫力があっていいと思いますよ!